シンプルはムズかしい
シンプルなデザインになるほど、簡単に作れそうな気がします。
しかしデザインにおける“シンプル”は、無駄を削ぎ落として洗練された状態を指します。
バランス・調和・曲線等の細かい調整が、シンプルの良さを引き出すとは思うのですが。
ここでは調和について触れます。
調和=「全体がつりあっていて、まとまりがあること」のような意味です。
釣り合い=「二つ以上のものが同じくらい」≒バランスが取れているようなニュアンスになります。
つまりは調和に触れるとバランスの話になります。
バランスを組み換えていくと、調和に繋がる。とも取れます。
バランスを整える組み合わせは無限大です(大袈裟に言えば)。
どういうことか、といいますと。
組み合わせは無限大の意味
文字のフォントが変われば、印象が変わります。
文字の大きさ・太さが変われば、印象が変わります。
文字と文字の間の空き具合が変われば、印象が変わります。
文章の行間が変われば、印象が変わります。
色が変われば、印象が変わります。
図形が変われば、印象が変わります。
図形のサイズが変われば、印象が変わります。
図形と図形の間隔が変われば、印象が変わります。
曲線の曲がり具合が変われば、印象が変わります。
他、イラストが変われば〜写真が変われば〜。
ということで
組み合わせは無限大。というわけです。
シンプルなら組み合わせの数が減るので、楽になるのでは?
と思われるかもしれません。
しかしシンプルになるほど比較対象が少なくなるので、調和の誤魔化しが効かなくなります。
ひとつひとつの文字・図形・曲線等の存在感が増し、ひとつひとつが重要視されるからです。
「シンプルな料理は誤魔化しが効かない」お話と似ているかもしれません。
例えてみる
あまり芯を捉えていないかもですが、例えます。
髪の毛がレインボーで、真っ赤なレザージャケットを羽織ったお兄さんがいたとします。
そのお兄さんが渋谷のスクランブル交差点を歩いていたら、目立つかもしれませんがそこまで気にはされないかと思います。
もしお兄さんが田舎で同じ格好で畑仕事をしていたら、かなり目につきますし、何者だ!?となると思います。
これは調和が働いていない状態といえます。
髪の毛を黒く染め直して、土が付いてもいい格好をして、熱中症にならないように帽子をかぶり、軍手をする。
これがバランスを整える(調和させる)ということになります。
(染めてる方もいますね。あくまで例えということで)
お兄さんが黒髪に戻したものの、髪型が歌舞伎のような物凄い毛量だとします。
すると、まだ何となく調和しきれてないといいますか、違和感を感じます。
「外が猛暑で歌舞伎ヘアーは辛いな。髪の毛、切っちゃうか!」
お兄さんは、髪の毛をバッサリスッキリとしてきました。
好青年の若者が、健康的に畑仕事をしているような印象となりました。
お兄さんは好青年感が増したものの、他に髪の毛がボサボサだった方がいたとします。
ここで、経営者は考えます。
「そうだ!好青年農業集団として魅せよう!みなさん。髪の毛をサッパリしてきてください!」
他の方々もお兄さんに合わせて、髪の毛をサッパリしました。
どういうことか
1.スクランブル交差点
比較対象が少ないほど、ひとつひとつが目立つということ。
これは先述しました。
2.黒染めと服装変更
調和のお話です。
書体や色など、方向性に沿った選択をする必要があります。
また、ある程度の規則性を持たせる方が安心感があります。
3.髪の毛サッパリ
これはデザインを1箇所調整したら、全体のバランスが崩れる。
ひとつ修正をしたら、他のパーツもひととおり再調整が必要(ケースバイケース)。
という例えでした。
まとめ
誤魔化しが効かない分、バランス調整に力が入る。
だから、シンプルは難しい。
というお話でした。