過激でネガティブなキャッチコピーは、狙いとは異なる形で波及していく(私見)

過激でネガティブなキャッチコピーは、狙いとは異なる形で波及していく(私見)

ネガティブコピーの影響について

過激でネガティブなキャッチコピーというのは、心理的に印象に残りやすいと散見します。

先日、お国の看板を掲げたとある組織が発信するチラシで「ちょっと過激かもネ。」と感じさせるキャッチを見かけました。
自分たちの組織のセミナーへの呼び込みチラシです。

直接的な表現ではないのだけれども、捉えようによってはある意味、誰かを貶めているといいますか。
また信憑性に欠ける発言を真実のように伝えているところもあり、なんだかモヤモヤとするチラシだなという印象を受けました。

おそらく悪気があっての事ではないと思います。
筆者が過剰に反応しているだけで、他の方はそのような気持ちにならないかもしれません。
もしくは特定の立場に対してマイナス作用が強そうで困ったチラシだな、と感じただけかもしれません。

「あちらを立てればこちらが立たず」という感じでしたので、責めきることはできませんでした。
特定の方々の立場を悪くするような言い回しとも感じましたが、純粋に誰かの役に立ちたいとも考えられましたので。

ただ初見ではなんとなく「一部の立場を下げて相対的に一方の価値が高まるようにみせている」と捉えて感心できませんでした。

それも筆者の勘違いかもしれません。
なにかしら発言をすれば、誰にでもそのようなことは往々にしてあるでしょう。

ですが、かの機関をフィーチャーするなら、より慎重な姿勢を探っていけそうだと感じました。
チェック項目を作ったり、多重チェックする人がいたりと、現在のルール化をさらに深掘りしていけるのでは?
と、図々しくも勝手に想像していました(既に細かくルール化されているかもしれませんが+自分を棚に上げて物申していますが)。

誰にでも意図せず、誰かを傷つけて(もしくは自ら傷ついているのか)しまうことはあるかと思います。
慰めようとしたのにさらに落ち込ませてしまったり、良かれと思った発言で怒らせてしまうこともあります。
言葉というのは諸刃の剣で、大変繊細に感じます。

そして漠然としてはいますが、過激発言やネガティブワードというのは、相手の気持ちを下げる危険性が高そうな雰囲気があります。
バイアスを刺激し意識への植え付けをする(気を引く)という意味では、広告的な機能は働きやすいようなのですが。

キャッチコピーの例

ここでひとつ、キャッチコピーの例を考えてみました。

たとえば紙の本と電子書籍。
電子書籍の宣伝のためにチラシを撒くとします。

お題となるコピー。
“過激・ネガティブ”=「紙は時代遅れ」。
“信憑性”=「環境のために電子書籍を」。
としましょう(お気を悪くされたら申し訳ありません)。

過激・ネガティブワード

まずは「紙は時代遅れ」から考えてみます。

このキャッチは、紙の価値を下げるネガティブキャンペーンとして機能します。
また相対的に電子書籍の価値を高めるという発想になります。

三方よしという思想もございますが、上記の言葉から筆者は「商売を“勝負の場”と捉え、ライバルを倒すための交戦的な言葉」に感じました。

この言葉を使ってはいけないという訳ではなさそうですが。
ちょっと刺激の強い言い回しとなるので、世間体が気になる発言ではあります。
匙加減次第なのかもしれません。

そしてこれを公的な機関が発言したとき、「特定の業界に肩入れしている」といった印象を受けました。
よって「公的な機関では、過激でネガティブな言葉は使い勝手が悪そうだ」という私見に至りました。

真実性・信憑性

次に「環境のために電子書籍を」というキャッチについて考えてみます。

一見、環境に配慮したラブ&ピースなキャッチに見えます。
ですがこのコピーで着眼すべきは「真実性・信憑性」についてです。

まず真実性。
脱紙・電子化は、本当に環境によいのでしょうか?

電子化することにより、ひとつ。
電気の使用量が増えます。
エネルギー問題を考えなければいけません。

ふたつ。
電子部品発注増についての観点も生まれます。

紙関係では鉱物資源の削減や廃液減によるエコには繋がるけれども、電気や部品の生成増になるかもしれない。
しかし紙側としては間伐による貢献という観点もありますし、電気・部品側としてはSDGSに向けて日々改善中かもしれません。
「あちらを立てればこちらが立たず」な上に多面的な視点もあって、一言で完結させる怖さもあります。

次に信憑性。
エコを謳うには、環境改善に対するデータが求められるかもしれません。
もしくは納得できる肩書きがあり、事情に精通している事が必要とされるかもしれません。

チラシの受け手が上記どちらかによって、発信者に対する信頼感を得たとします。
ところが、チラシに事実とは異なる事が書かれていたとしましょう。
すると受け手が手放しで相手を信用した時、事実を誤認する可能性が生じます。

公的な組織というのはそれだけで信用度を高く見積もりますので、事実か否かというのはより重要に感じます。
という私見でした。

チェックリストを考えました

では公での広報を考える時、一体どのような文言を残していけばよいのでしょうか?

そこで。
僭越ながら公的機関のチラシで気をつけるべき点に関して、簡易的なチェックリストを考えてみました。

チェックリスト

  • 予想か、感想か、想像か、事実か、誰かの意見か。が、読み手に伝わるか
  • 言い切るなら、それは事実か
  • 事実の場合、データはあるか
  • セミナーの開催内容に精通した人物であるか
  • 特定の人物・団体へメリットが偏りすぎていないか
  • 特定の人物・団体に対してのネガティブキャンペーンが過剰ではないか
  • 過激で、脅威や畏怖を感じさせる表現ではないか

上記のようなフィルターを通す事で、過激かつネガティブな発言をまろやかにして、少しだけ偏りを浅くした宣伝媒体を目指せるのでは?
と、筆者は表現に関して恐る恐るやっている身で大変恐縮ではありますが、とにかく批判だけでは終わらせずに改善案を提案してみました。

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