省略と想像力

省略と想像力

省略と想像力に関する、現在の私見です。

聞き手の想像力

「一を聞いて十を知る」という言葉があります。
著者はこれを「経験・言葉・非言語情報(五感)から、背景を想像する」という事だと思っています。

さきほどの諺は、聞く側のお話。
今度は、発信側視点の「一」について、語ります。

関係性による省略

たとえば、相手は知人だとします。

当人同士でしか通じないセリフが、ぽつりと出ることがあります。
過去のエピソードがあったので、「ぽつり」が通用します。

背景ありきのため、省略しても大丈夫だと想像がつきます。
いちいちの説明が、不要なケースです。

発信側の省略視点

自分の常識に当てはめて、説明を省く事などはありませんか?

「言わなくても、分かるだろう」
「細かく語ったら、キリがない」
「今回だけでは、語り尽くせない」
「たっぷりと、説明する余裕がない」

こうした場合、何かしら省略しがちですよね。
(大事なところを削ってしまう事もあります)

ある種、説明不足で「不親切」なのかもしれません。
ところが上手に添削できれば、スッキリした説明となります。
(削る部分は、当人の価値観が反映されるような気がします)

以上は「発信側の想像で、カットする部分を選ぶ」ケースです。

受信者の想像力に委ねる省略

もう一つは、「カット部分を相手の想像力に委ねる」というケースです。

たとえば、料理本でのレシピ解説。
「包丁を触った事がない人」が、初料理のためにレシピ本を買ったとします。

ところが、いざ料理を始めようとしたら、使う器具が分からずに、おろつくかもしれません。

ここまでを想定したなら「準備編」として、「調理器具の解説ページを入れようかなぁ」なんて検討するかもしれません。

もし読み手が「料理に慣れていて、レパートリーを増やしたい方」でしたら、器具準備編は不要でしょう。

  • 事前に購入しておく器具は、説明しない
  • 調理前に準備する器具などは、伝えない
  • 器具の使い方を、教えない(例:圧力鍋、せいろ等)

それでも
「普段から、料理には慣れてますよね?」
「説明しなくても、なんとかなるよね?」
という想像です。

これが、相手の想像力(や経験)に委ねるケースです。
(結局はこれも、話し手の想像でしかないのかもしれませんが)

著者が何を思ったか

発信者目線として。
よりスッキリと、よりシンプルに、伝えたい。

となると、何かを削る必要がある。
削るものは、判断(選択)しなければいけない。

なら省略するために、

  • 自分の、常識感に当てはめる
  • 相手の、立場を踏まえる
  • 自分と相手の、関係性を視野に入れる

といった視点が、あるのではないか?
また、このあたりに改善の余地があるのではないか?

そんな気がしました。

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