正藍染(しょうあいぞめ)体験。所感
以前、草木染めや藍染めのお話を聞かせていただく機会があり、そこから藍染め体験ができる工房をご紹介いただきました。
お伺いし、体験し、拝聴したお話の感想を述べてみます。
その工房では、室町時代からつづく「正藍染(しょうあいぞめ)」という藍染めをされています。
正藍染では、植物由来の「すくも」と、木材の「灰汁」を混ぜた染め液に、生地を浸します。
餌や温度管理による発酵促進で、染め液内の菌を活性化させることにより、色がきれいに染まるようになるらしいです。
色移りする染め物の場合。
たとえば着物の帯では、腰回りに色が移るデメリットがあるのだとか。
(そのぶん手間をかけた正藍染の帯は、希少価値が高そうですね)
かわって正藍染の場合。
色落ち・色移りしない特徴があるそうです。
ユーザーとして喜ばしく、“手作りによる一品モノ”というのは、グッとくるものがあります。
(作ったものには、愛着も湧きます)
ほか、デザイナー視点で印象に残った点をあげてみます。
ひとつ、色管理。
染める時間や回数・生地の種類・すくもの具合・季節・染め液の温度や発酵状態など、さまざまな要因にて色が変化するそうです。
液につけたときは茶色。液から出して酸素に触れると青くなり、2度付け3度付けで濃くなっていく。
(さらには天日干しやお湯に浸し、黄色味を抜くことで、より良い「藍」に。とのこと)
インクの印刷でも、紙質や季節・天候・温度など、さまざまな要因で色が変化します。
共通項に、思いを馳せました。
ひとつ、着色手法。
藍染めは、形を付けたいところに糊付けをするそうです。
糊の付着部には染料が付かず、元々の生地の色が残ります。
周りは藍色、デザイン部(糊付け部)は白。といった仕上がり。
一方でデザイン。
服にインクを乗せる際に、シルクスクリーン(孔版印刷)という手法をつかいます。
細かい網の上からインクを垂らし着色するのですが、事前に着色部の周りを塞いでおきます。
するとインクを伸ばしたときに、必要な箇所にだけ色が移ります。
塞ぐところ(着色部)が、染料(藍染め)と顔料(デザイン)で逆なんですね。
面白みを感じます。
といったところで。
職人の技術話は実に興味深く、関心してしまいます。
デザイン業との比較もあり、記事にした次第です。